本文へスキップ
メンタルケア | 読了まで約11分

反芻思考のやめ方|同じ考えが頭を回るときの対処

反芻思考のやめ方|同じ考えが頭を回るときの対処
目次

布団に入って目を閉じたとたん、昼間の出来事が頭の中で再生され始める。「あのとき、どうしてあんな言い方をしてしまったんだろう」「あの人は今ごろ、どう思っているだろう」。気づけば同じ場面を何度も巻き戻して、眠るどころではなくなっている——。

仕事でのミス、送ってしまったメッセージ、何年も前の失敗。考えても答えは出ないと分かっているのに、頭が勝手に考え続けてしまう。そんな経験はありませんか。

同じ考えが頭の中をぐるぐる回り続けるのは、あなたの意志が弱いからでも、性格が暗いからでもありません。「反芻思考(はんすうしこう)」と呼ばれる、誰にでも起こりうる心の働きによるものとされています。そして反芻思考には、仕組みを知ったうえで使える、具体的な対処法があります。

この記事では、反芻思考とは何か、なぜ止まらないのか、そして自分でできる7つの止め方を、寝る前のぐるぐる思考への対処とあわせて紹介します。

反芻思考とは?頭の中で同じ考えがぐるぐる回る状態

反芻思考(はんすうしこう)とは、過去の失敗や嫌な出来事、「どうして自分はこうなんだろう」といった考えを、頭の中で何度も繰り返してしまう状態を指す心理学の用語とされています。牛が一度飲み込んだ草を口に戻して噛み直す「反芻」になぞらえた言葉で、英語では rumination(ルミネーション)と呼ばれます。

反芻思考の特徴は、長く考えているのに、前に進まないことです。原因の分析のようでいて、実際には「なぜ」「どうして」という問いを同じ場所で回り続けます。海外の心理学研究では、反芻の傾向が強いほど、抑うつ的な気分や不安が長引きやすいという報告があります。

用語のより詳しい解説は、用語集「反芻思考」にまとめています。

反省との違い——反省は前に進み、反芻は同じ場所を回る

「考えること自体は悪いことではないのでは?」と思うかもしれません。そのとおりで、反省と反芻は似ているようで、向かう先が違うとされています。

  • 反省は、「次はどうするか」という具体的な行動に向かう考え方です。考え終わると区切りがつき、気持ちも切り替わりやすくなります。
  • 反芻は、「なぜああなったのか」「自分はなんてダメなんだ」と、原因さがしや自分への評価を回り続ける考え方です。結論が出ないまま、同じ場所にとどまります。

見分ける目安は、考えたあとに「やることが決まったかどうか」です。10分考えて次の行動がひとつも決まっていないなら、それは反省ではなく反芻に入っているサインかもしれません。

なぜ反芻思考は止まらないのか

「考えても無駄だ」と分かっているのに止まらないのには、理由があると考えられています。

ひとつは、脳には終わっていない問題を覚えておこうとする働きがあるとされていることです。答えの出ていない悩みは、脳にとって「未完了の課題」です。放っておくと忘れてしまわないように、脳が何度も意識にのぼらせてくる——反芻は、この仕組みが裏目に出た状態と考えることができます。

もうひとつは、気分との悪循環です。反芻して気分が沈むと、ものごとの悪い面に注意が向きやすくなり、過去の嫌な記憶も思い出しやすくなるとされています。すると反芻の材料がさらに増え、また気分が沈む——というループが回り始めます。意志の力だけで止めるのが難しいのは、このためです。

国立精神・神経医療研究センターのこころの情報サイトでも、ストレスとこころの不調の関係や、セルフケアの基本的な考え方が紹介されています。

反芻思考を止める7つの方法

反芻は「気合いで消そう」とするほど手強くなりがちです。コツは、意志の力で考えを消すのではなく、注意の向き先と体の状態を変えて、ぐるぐるの外に出ること。できそうなものから、ひとつ試してみてください。

1. 頭の中身を紙に書き出す

頭の中だけで考えていると、同じ考えが形を変えて何度も戻ってきます。ノートやスマホのメモに、いま頭にあることをそのまま書き出してみてください。書くことで考えが目に見える形になり、脳が抱え続ける必要が減るためか、ぐるぐるが落ち着きやすくなるとされています。反芻への対処として、書くこと(ジャーナリング)は研究でも取り上げられてきたアプローチのひとつです。

書き方に決まりはありませんが、感じている気持ちに「悔しい」「不安」と名前をつけるだけでも、感情が整理されやすくなるという報告があります(感情ラベリング)。具体的な書き方は感情日記の書き方で、書くことの効果の詳細はジャーナリングの効果とやり方にまとめています。

2. 注意を「いま、ここ」に切り替える

反芻しているとき、注意は過去に飛んでいます。五感を使って、注意を現在に引き戻してみてください。たとえば「いま見えているものを5つ、聞こえる音を4つ、触れている感覚を3つ数える」という方法が知られています。手を温かいお湯で洗う、コーヒーの香りをゆっくりかぐなど、体の感覚に集中するだけでも、思考の再生は一時停止しやすくなります。

3. 体を動かす

ぐるぐる考え始めたら、椅子から立ち上がって少し歩くだけでもかまいません。散歩や軽い運動は気分の切り替えになるだけでなく、世界保健機関(WHO)も身体活動に関する情報の中で、運動がこころの健康によい影響を与えるとしています。「運動しなきゃ」と構える必要はありません。5分の散歩から始めてみてください。

4. 「心配タイム」を決めて、考える時間を区切る

逆説的ですが、「考えない」のではなく「考える時間を予約する」方法です。たとえば「心配ごとは夜7時から15分だけ考える」と決め、それ以外の時間に浮かんだら「あとで心配タイムに考える」とメモして先送りします。認知行動療法でも用いられる工夫のひとつとされ、考える時間に枠を作ることで、一日中だらだらと反芻し続けるのを防ぎやすくなります。

5. マインドフルネスで、考えを「眺める」

浮かんだ考えを消そうとせず、「いま、自分はまた考えているな」と少し離れたところから眺める練習です。考えを「事実」ではなく「頭の中に浮かんだもの」として扱えるようになると、巻き込まれる時間が短くなっていくとされています。呼吸に注意を向ける1分の練習から始められます。詳しくは用語集「マインドフルネス」へ。

6. 場所や環境を変える

同じ場所に座り続けていると、思考も同じ場所を回りやすくなります。部屋を移動する、ベランダで外の空気を吸う、顔を洗う、カーテンを開ける。環境からの刺激が変わることが、思考の切り替えのきっかけになることがあります。「その場から物理的に動く」は、いちばん手軽な対処のひとつです。

7. 信頼できる人に話す

人に話すことは、書くことと同じように「頭の中のものを外に出す」方法です。アドバイスをもらうためではなく、聞いてもらうだけでかまいません。話しているうちに考えが整理されたり、「そこまで大ごとではなかったかも」と距離が取れたりすることがあります。話せる相手が思い浮かばないときは、後述する公的な相談窓口を使うこともできます。

寝る前の「考え事が止まらない」への対処

反芻がもっとも起こりやすいのは、外からの刺激が減って頭が自由になる夜、特に布団の中だとされています。寝る前のぐるぐるには、次の工夫が知られています。

  • 布団に入る前に「書き出しタイム」をつくる。気になっていることと「明日やること」を5分でメモしておくと、脳が覚えておこうとする負担が減るとされています。
  • 布団を「考える場所」にしない。15〜20分たっても頭が回り続けるときは、一度布団から出て、暗めの部屋で退屈な時間を過ごし、眠気が戻ってきてから布団に入り直す方法が知られています。
  • スマホで気をそらさない。光と情報の刺激でかえって目が覚め、反芻の材料が増えることもあります。スマホは布団の外に置くのがおすすめです。

睡眠そのものを整えたい方は、睡眠の質を高める方法に詳しくまとめています。

反芻しているときに、やってはいけないこと

よかれと思ってやりがちだけれど、逆効果になりやすい行動もあります。

  • 考えを無理に消そうとする。心理学では、ある考えを抑え込もうとするほど、かえってその考えが浮かびやすくなるという報告があります。「考えないようにする」より「別のことに注意を向ける」ほうが現実的です。
  • お酒で紛らわす。一時的に忘れられても、睡眠の質が下がり、翌日の気分の落ち込みや反芻がかえって強まりやすいとされています。
  • 深夜までSNSや動画で気をそらし続ける。その場しのぎにはなりますが、睡眠が削られると反芻はさらに起こりやすくなります。
  • 「考えてしまう自分」を責める。反芻は意志の弱さではなく、心の働きです。自分を責めることは、新しい反芻の材料を増やすことにつながってしまいます。

いまの心の状態を、一度ふりかえってみる

反芻が増えているときは、心のエネルギーが下がっているサインのこともあります。とはいえ「自分がいま、どのくらい疲れているか」は、意外と自分では見えにくいものです。頭の中を整理する入口として、3分でできる心のバランスをみるセルフチェックを置いておきます(無料・登録不要。医学的な診断ではありません)。

また、日々の気持ちを書きとめる場所として、AI感情分析日記アプリ「Lumie」のようなツールを使うのもひとつの方法です。書いた言葉をあとから見返すことが、自分の反芻のパターンに気づくきっかけになります。

Lumieメンタルケアマガジンは、AI感情分析日記アプリ「Lumie」を提供するチームが運営するメディアです。

こんなときは、専門家や相談窓口を頼ってください

セルフケアで様子を見てよい反芻もあれば、専門家に相談したほうがよいサインもあります。次のような状態が2週間以上続いている場合は、心療内科・精神科やカウンセラーへの相談を検討してみてください。

  • 反芻のせいで眠れない日が続いている
  • 気分の落ち込みや不安がほぼ一日中続き、仕事や生活に支障が出ている
  • 食欲や体重に大きな変化がある
  • 「消えてしまいたい」という考えが浮かぶ

いきなり受診はハードルが高いと感じる方は、厚生労働省のこころの耳で、電話・SNS・メールで相談できる窓口が案内されています。ひとりで抱え込まないことも、大切なセルフケアのひとつです。

よくある質問

反芻思考とはどういう意味ですか?

過去の失敗や嫌な出来事、自分への否定的な考えを、頭の中で何度も繰り返してしまう状態を指す心理学の用語とされています。牛の「反芻」が語源で、同じ考えを繰り返し噛み直すさまを表しています。

反芻思考が多い人に特徴はありますか?

完璧主義の傾向がある人や、自分に厳しい人、「こうあるべき」という基準が高い人は、反芻が起こりやすいとされています。ただし反芻は性格の欠点ではなく、誰にでも起こりうる心の働きです。自分の傾向に気づくこと自体が、対処の第一歩になります。

反芻思考は病気のサインですか?

反芻そのものは病気ではないとされています。ただ、強い反芻が長く続く状態は、うつ病や不安症と関連するという報告があります。気分の落ち込みや眠れない状態とともに2週間以上続く場合は、医療機関への相談を検討してください。

考えすぎてしまう性格は変えられますか?

性格そのものを変える必要はないと考えられています。変えやすいのは「考えが浮かんだあとの行動」です。書き出す、注意を切り替える、体を動かすといった対処を繰り返すうちに、ぐるぐるに巻き込まれる時間は少しずつ短くなることが期待できます。

寝る前の考え事が止まらないときは、どうすればいいですか?

布団に入る前に、気になることと明日やることを紙に書き出しておく方法が知られています。それでも頭が回り続けるときは、一度布団から出て、眠気が戻ってから入り直してみてください。スマホを布団に持ち込まないことも、反芻と夜ふかしの両方を防ぐのに役立ちます。

まとめ:ぐるぐるに「気づけた」ことが、最初の一歩

  • 反芻思考は、同じ考えを頭の中で繰り返してしまう心の働きで、意志の弱さではない
  • 反省は行動に向かい、反芻は同じ場所を回る。「やることが決まったか」が見分けの目安
  • 止めるコツは、消そうとせず、書き出す・体を動かすなどで注意の向き先を変えること
  • 眠れないほどの反芻や、2週間以上続く落ち込みは、専門家や相談窓口へ

「また考えてしまっているな」と気づけた瞬間、あなたはすでに反芻の外に半歩出ています。今夜、頭がぐるぐるし始めたら、まずは紙とペンを手に取ってみてください。

本記事は情報提供を目的とし、医学的な診断・治療に代わるものではありません。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスや診断、治療の代替となるものではありません。心身の不調が続く場合や深刻な悩みがある場合は、医師やカウンセラーなどの専門家にご相談ください。

Lumie のマスコット「Yume」

今日の自分の気持ちを、ことばにしてみませんか?

「なんとなくしんどい」を言葉にすると、心は少し軽くなります。AIがあなたの言葉に寄り添い、感情を可視化します。

スポンサーリンク
この記事をシェアする
記事一覧に戻る
iOS Android